アメリカの外食産業に過労死がない理由とは? [外食産業]

http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2012/03/post-407.php

面白い記事を見つけましたので、ピックアップしてみました。

アメリカの外食産業に過労死がない理由についてです。
日本では、大手外食チェーン店での過労死が何度か紙面を賑わせ、社会問題に近い存在となりました。
アメリカでは、こういった問題がないようです。

その理由として9つ上がっていました。以下、記事引用です。

(1)役割分担がハッキリしている
例えば、注文を取るのは「サーバー」、最初に接客して客をテーブルに誘導するのは「ディスパッチャー」などという「専任」ですし、料理を運んだり皿を下げる専門の「アシスタント」など接客だけでも細かく分かれています。厨房の中も役割分担が明確です。

(2)職務内容は契約書で明確になってる
コストカットのために、ある仕事を他の人間にカバーさせるなどということは不可能です。また契約に書いてあることは双方が履行しなくてはなりません。契約社会では成立した契約を力関係でひっくり返すことはできないのです。

(3)人の仕事はやってはいけない
誰かが客の前で料理をひっくり返した場合に、その人間がサーバーだったら掃除をしてはいけません。掃除はジャニターの権限であり、他の人間がその仕事を横取りするのはジャニターの雇用を脅かし、給与の分配の根本を壊すので重大な規律違反になります。従って、他の人が忙しくても自分の仕事や勤務時間が終わったら帰っていいのです。といいますか、他の人の仕事にちょっかいを出すのは禁じられています。

(4)決して給与は高くない
全員が腰掛け仕事と言っても過言ではありません。「アシスタント」はまず最低賃金レベルでヒスパニック系の出稼ぎ労働の人が目立ちます。「デイスパッチャー」なども大した時給ではなく、学生のアルバイトが多かったりします。それぞれが、人生のそれぞれの段階で、収入の不足を補うという位置づけで働いており、長く勤務するという前提の人はほぼ皆無、従って何らかのストレスを貯めこむ危険があるようなら転職してしまいます。

(5)本部の経営層やマーケティング専門職、商品開発専門職は管理職扱いで給与も高いですが、現場叩き上げで昇進する可能性はゼロ
こうしたポジションはMBAやフードビジネスの修士などが要求され、またそうした「最先端知識」を大学院で学んだ人が即戦力、もしくは業界をヨコに転職してきてポジションを取ります。

(6)店全体の管理責任と業績の責任を負うのは店長
店長の処遇は歩合制がほとんどです(スーパーの店長も同様)

(7)歩合ということで言えば、サーバーもチップ制になっている
サーバーというのは基本的に出来るだけ高い料理と酒を選ばせ、デザートも注文させることでテーブル単価を稼ぐ「営業職」という位置づけだからです。また客はサービスの満足感に対して、チップの率を12%から20%の間で変動させますから、顧客満足度の向上のモチベーションもカネで精算されるわけです。つまり、固定給を前提にノルマ達成を迫られるより、後腐れがないわけです。

(8)サービスのレベル一般は低い
客を待たせても、注文の料理が遅くても、冷めていても、そこで謝罪することはまずありません。その代わり、好感度を増してチップを稼いだり、リピートにつなげるためには、パーソナルタッチ、つまりサーバーの個人的なアドリブ会話が奨励されています。それも厳しい強制はないですし、上手になればチップという見返りがあるので、働いている人間にはそれほどストレスにはなっていないようです。

(9)「従業員控え室には労働法規の一覧と最低賃金額を記載したポスターを掲示しなくていけない」という法律があって、それが雇用側が法律順守をするようなプレッシャーになっている
実際に労働法規違反が顕著であれば、多くの労働者は弁護士を雇って訴訟に持ち込みます。その場合、内容が悪質で、かつ雇用主に支払い能力がある場合は、巨額の懲罰賠償を取られますから、雇用主としては自発的に法律に従わされる仕組みです。



日本の外食産業は、従業員は固定給でノルマを課せられ、それに向かって大きなプレッシャーの中で働いています。対する、アメリカの外食産業は、契約社会で低い賃金だが、良い働きをするとその分はチップで報酬かもらえます。
また、日本はどちらかというと法律や決め事よりも、その場の空気や協調性、そして顧客第一主義が求められます。対する、アメリカは契約や法律順守が尊重され、空気や協調性は求められない。また、やっていることが契約内容と一致していれば、顧客のことは考えなくてもよいという風潮がある。

日本の方が顧客にとってはサービスが充実していて満足度が高そうだが、アメリカの方が従業員はストレスなく働けそうです。
"過労死"を防ぎ、従業員を守るためには、アメリカ的なやり方も見習うことがありそうです。

このアメリカと日本の外食業界の傾向の違い、カルチャーショックを感じて面白くないですか[グッド(上向き矢印)]

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やまさん

この記事、ほんと驚きました。
日本とアメリカでこんなに違うとは・・・

仕事の範囲外はやらない。こんなに明確なんて・
サービスや労働契約の違いは大きいですね。l

日本では、忙しい状況なら助け合ったり、残業したりになりますが、
アメリカではそんなの関係ないのですね。

過労死がないのは余計な仕事をしないからストレスがなく、過労死がないことだと思います。
海外旅行へ行ったら、飲食店で店員の動きに注目したいです。


by やまさん (2012-03-13 14:00) 

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